差し歯が取れてしまった!

この写真のように
「何年も前に治療した差し歯が取れた」ということはございませんか?

 

 

 

 

このような場合は、自覚症状はなくとも、
お口の中の
根の状態(割れていないか/歯茎の上に十分露出しているか)
虫歯の有無
歯茎の状態(歯周病の進行の程度/歯垢や歯石がついていて歯茎が腫れていないか)
レントゲンにより根が化膿していないか、周囲の骨が溶けていないか

 

 

 

を診察した上で、
取れた差し歯に破損がなく、適合状態が良好であればセメントを用いて再装着することができます。

 

 

 

 

残念ながら、再装着できない状態であるときは仮歯を製作し、その期間に前述の問題点を解決したのちに新しい歯を作ることになります。

歯根だけになってしまった歯を新しく作るためには回数がかかります。(4~5回程度)

 

 

 

 

 

実は、この「差し歯」は「コア」と「クラウン」という2つのパーツで構成されており、
型どりと装着を2回ずつする必要があるのです。

取れた差し歯をみると人工の歯に突起がついていて、その部分がお口の中の歯の根に差し込まれる構造になっているように見えます。
これは「コア」と「クラウン」がセメントでつけられていますが、

 

 

 

<前回治療時>
歯根に「コア」を装着→「コア」が装着された根にさらに「クラウン」を装着

 

 

↓ 何年かたって劣化が進んでしまい、、

 

 

<今回>
「コア」が歯根からはずれた

という状態です。

 

 

前述の問題点を解決した後は、新しく「コア」からさらに「クラウン」までを別々に作る必要があるので回数がかかるのです。

 

※以前は「ポストクラウン(歯冠継続歯)」といって
「コア」と「クラウン」を1回の型どりで製作する方法もあったのですが
再治療が複雑になってしまったり治療後の経過が良くないのでなくなってしまいました。
(私も製作したことはありません。よく行われていたのは20年以上前だと思われます。)

 

 

 

 

 

そこで、「コア」より「クラウン」が完成し、治療が終了するまでの治療のプロセスを紹介します。

 

 

①虫歯や歯茎の治療、根管の治療
<期間>必要な治療内容によって変わります。不要な場合もあれば、数ヶ月かかる場合もあります。事前に治療計画を立てます。
<回数>必要な治療内容によって変わります。

 

 

②コアの印象採得(型どり)


<治療時間>約30分
<詳細>歯根の形態をコアが安定するような形態に調整します。型どりをして模型を歯科技工所にコアの製作を依頼します。

 

 

③コアの装着


<治療時間>約30分
<期間>②より1週間程度後(歯科技工所によるコアの製作期間として)
<詳細>歯科技工所より納品されたコアを歯根に装着します。装着後に削って形を調整します。仮歯を装着して噛み合わせや歯茎の調和を図り、クラウンの型どりに備えます。

 

 

④クラウンの印象採得(型どり)

 

<治療時間>約30分
<期間>③と同時に施術できることもある。周囲の歯茎や噛み合わせの状態によっては③より数日~2週間程度待機することもあります。安定が確認出来たら進めます。
<詳細>仮歯をはずし、支台歯(コアの装着された状態の歯)を含めた、噛み合わせや反対側の歯の型どりをしてデジタルデータや模型を製作します。歯科技工所に送り、クラウンの製作を依頼します。
仮歯は次回装着時まで歯の位置が変わらないように戻しておきます。外れた場合はお早めにご連絡ください。

 

 

⑤クラウンの装着


<治療時間>約30分
<期間>②より1週間程度後(歯科技工所によるクラウンの製作期間)
<詳細>歯科技工所より納品されたクラウンを支台歯に装着します。噛み合わせの調整を行い、終了となります。

 

 

 

 

以上により、差し歯が取れてしまった時の治療が完了します。
クラウンだけが取れてしまった時は④からで済みますので、2回で終わることもございますが、
コアから取れてしまうことがほとんどであるように感じます。

 

 

4回以上は治療回数がかかってしまいます。
治療途中のどの段階まで進んでいて、あと何回で治療が完了するのか不安になってしまうことも多いでしょうが、
実は差し歯の治療は、このように多くのプロセスと歯科技工士さんのご協力のもとに完成するのです。