いつから小児歯科?子供たちの口と歯のこと

赤ちゃんや子どもの初めての歯医者デビューはいつからでしょうか?

 

第一子であれば、尚更分からないことばかりの赤ちゃん・子どもの歯のこと。今回は、鷺沼で小児歯科を行う加賀美歯科が、赤ちゃん・子どものお口や歯の健康について解説していきますので参考にしてみてください。

 

 

 

まずは子どもの歯の発育について理解しましょう。

歯にはそれぞれ名前がついており、乳歯はA・B・C・D・Eという歯が上下左右に4本ずつ生えるので合計20本となります。

 

A:乳中切歯

B:乳側切歯

C:乳犬歯

D:第一乳臼歯

E:第二乳臼歯

と呼ばれています。

永久歯は1・2・3・4・5・6・7・8という歯が歯が上下左右に4本ずつ生えるので合計32本となります。

1:中切歯

2:側切歯

3:犬歯

4:第一小臼歯

5:第二小臼歯

6:第一大臼歯(6歳臼歯)

7:第二大臼歯(12歳臼歯)

8:第三大臼歯(智歯・親知らず)

と呼ばれています。

 

歯の発育は生まれる前から始まっています。お母さんの妊娠中に乳歯は作られ始め、出産時には歯冠(歯の上の部分)は歯茎の中の顎の骨に埋まっています。

その後の歯の発育の経過について記載します。

 

<乳歯列期>

口腔内に乳歯のみが生えている期間を乳歯列期といいます。

8ヶ月~1歳頃

上下の乳切歯A・Bが生えてきます。下の乳中切歯Aから生えることが多いでしょう。

1歳半頃

上下の乳犬歯と第一乳臼歯C・Dが生えてきます。Dから生えることが多いでしょう。

2歳~2歳半頃

上下の第二乳臼歯Eが生えてきます。

 

合計20本の乳歯が生えそろった期間は6歳頃まで続きます。

 

<混合歯列期>

口腔内に乳歯と永久歯が混在して生えている期間を混合歯列期といいます。

6歳頃

下の乳中切歯Aがグラグラし始めます。自然に脱落すると歯茎の中から下の永久歯の中切歯1が生えてきます。

上下左右の第一乳臼歯Eの奥に第一大臼歯6が生えてきます。歯茎が裂けて生えるので食事時に痛んだり磨きにくくなります。どの程度生えているのかを定期的に確認し、必要に応じて歯科医院でブラッシング指導やシーラントなどの予防処置をうけましょう。

~8歳頃

上下の乳中切歯と乳側切歯が脱落し、永久歯の中切歯の1と側切歯の2が合計8本生えてきます。

永久歯の横幅の合計が顎の大きさに対して大きい(顎が小さい)場合には、乳歯がぐらぐらして抜けなかったり、乳歯が抜けても永久歯が生えてこなかったり、永久歯が内側に生えたり、斜めやねじれて生えてくることがあります。そのまま様子を見ても良いものか、矯正治療の必要があるのかを歯科医院で診断してもらう必要があります。

また、上の永久歯の生え方に異常がある場合はまれに過剰歯という余分な歯があったり、2番の先天欠如という可能性もございますので、レントゲン撮影をすることもあります。

9~11歳頃

上下の乳犬歯Cと第一乳臼歯Dが脱落し、永久歯の犬歯3と第一小臼歯4が生えてきます。

こちらも乳歯がぐらついたり、歯茎に部分的に埋もれて生えるので食事時に痛んだり磨きにくくなります。どの程度生えているのかを定期的に確認し、必要に応じて歯科医院でブラッシング指導やシーラントなどの予防処置をうけましょう。

ぐらついた乳歯が取れないまま永久歯が生えてしまった場合は虫歯や咬み合わせのトラブルのリスクが増すので早めに歯科医院を受診して早期に乳歯を抜歯するべきか診断を受けましょう。

12歳頃

第二乳臼歯Eがぐらつき、第二小臼歯5が生え始めます。同時期に第一大臼歯6の奥に第二大臼歯7が生えてきます。こちらも乳歯がぐらついたり、歯茎に部分的に埋もれて生えたり、歯茎が裂けて生えるので食事時に痛んだり磨きにくくなります。十分に生えていても磨くのが難しい部位です。どの程度生えているのかを定期的に確認し、必ず歯科医院でブラッシング指導を受け、必要に応じてシーラントなどの予防処置をうけましょう。

ぐらついた乳歯が取れないまま永久歯が生えてしまった場合は虫歯や咬み合わせのトラブルのリスクが増すので早めに歯科医院を受診して早期に乳歯を抜歯するべきか診断を受けましょう。

また、第二乳臼歯がいつもでも脱落しない場合は、5番の先天欠如という可能性も比較的よくみられますので、レントゲン撮影をすることもあります。

 

<永久歯列期>

12歳以降

すべての乳歯が脱落し、永久歯が合計28本生えています。本数の過不足や歯並びの悪さは徐々に顎の発育や咬み合わせのトラブル、虫歯や歯周病のリスクの増加、コンプレックスを招きますので、歯科医院を受診し、診断を受けましょう。そのうえで、かかる期間と費用について、お子様の将来のために必要な投資であるかどうか判断していただくこととなります。

 

また、この時期より定期検診とブラッシング指導、プロフェッショナルケアを受ける習慣づけをすることが大切です。大人になってからの虫歯や歯周病、さらには全身疾患のリスクを下げることにつながります。

 

18歳以降

第三大臼歯8(親知らず、智歯)が生えることがあります。本来第二大臼歯の奥にまっすぐに生えるものですが、現代人では退化傾向により、

・親知らずが存在しない

・親知らずが歯茎や骨の中に埋まっている

・親知らずが横向き、斜め向きである

・親知らずが小さい

場合も多くありますので、自分の上下左右4本の親知らずがどのような状態であるかレントゲンで確認しておくべきでしょう。

 

 

 

小児歯科に通うべき理由を理解しましょう。

 

小児歯科とは、歯科の診療科目のうち、小児の歯科治療を行う診療科のことを指します。小児の範囲には定義はございませんが、0歳から15歳くらいまでを小児ということが多いように思います。

 

それでは、0歳~15歳まで、と16歳以上で歯科的な違いは何があるのでしょうか?

0歳~15歳の特徴

・乳歯はエナメル質や象牙質が薄く、虫歯(酸)に対する抵抗性が低い

・生えたばかりの永久歯(幼弱永久歯)はエナメル質が成熟していないので虫歯に対する抵抗性が低い

・顎の骨格の成長や歯の生え変わりに伴って歯並びが大きく変化する

・虫歯などの歯の形態的な変化が顎の骨格の成長に影響を及ぼす

・指しゃぶりや爪噛み、舌や唇の習慣が顎の骨格や口元の筋肉の成長、歯並びに影響を及ぼす

・自分自身で歯磨きを上手にできない

食習慣生活習慣の変化が大きい

・歯科に対する知識が乏しい

・経済的に自立していない

 

 

小児歯科の目的は、お子様の成長に伴う変化の大きな0歳~15歳の時期に定期的に診察をすることでその変化に早期に気づき、将来予想される歯や顎周囲の骨格や筋肉群のトラブルを未然に防ぐことによって健全に成長する手助けをすることとなります。

虫歯の治療やフッ素塗布などは健全な成長を手助けする手段のひとつであり、小児歯科で本来の目的ではありません。

 

 

 

子どもの虫歯の原因とは?

しかし、小児の虫歯は多くみられる疾患ですのでその治療と予防は非常に大切です。その原因として、

・エナメル質や象牙質の構造が虫歯に対する抵抗性が低い

フッ素の歯質強化作用により抵抗性を高める(自宅でフッ素配合の歯磨剤を使用し、定期検診の際にはフッ素塗布を行う)

・歯の溝が深く、磨き残しがたまりやすい

保護者様の仕上げ磨きの際に特に注意していただく。ブラシが届かないような深い溝はフィッシャーシーラントというフッ素配合の樹脂で予防的に埋め立てを行う。

・奥歯の間に磨き残しがたまりやすい

保護者様の仕上げ磨きの際に特に注意していただく。フロスの使用を習慣化する。

 

 

 

 

まとめ

 

 

お子様を歯医者に連れて行くのは、下の前歯が生え始める1歳前後からが良いと思います。保護者の方は日々の生活習慣などで注意すべきこと、心がけることを学び、乳歯が生えそろう3歳頃までは6か月に一度の定期検診を受けましょう。

下の前歯の乳歯が抜け、奥に永久歯の第一大臼歯が生え始める6歳頃からは大人と同様に3ヶ月に一度の定期検診を受け、食習慣、生活習慣のチェックとご本人と保護者様のセルフケア指導とプロフェッショナルケアを受けます。同時に生え変わりに伴う顎口腔周囲の骨格、筋肉群の成長に異常がないかを確認しましょう。この時期に矯正治療が必要となることもございますので、提携の矯正専門医療機関をご紹介させていただくこともございます。

 

6歳~15歳頃までは、乳歯の脱落、永久歯の萌出、顎口腔周囲の骨格の大きな成長により、口腔内は大きく変化し続けますので継続的に受診してください。もちろんその中でお子様ご自身も定期検診の重要性を学び、保護者様の元を離れ、自立してからも健全な口腔を維持できるようなモチベーションを身につけることができると考えております。

 

15歳以降は基本的には永久歯のみとなりますし、顎口腔周囲の骨格や筋肉群の成長も緩やかになっていきますので、成人と同じように将来の歯周病リスクを見据えての食習慣、生活習慣指導、セルフケア指導、プロフェッショナルケアが主となります。親知らずが生えてくることもございますのでその状態確認も行います。