「フレイル」とは?
私たちは高齢期における自然な変化として、徐々に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が増します。結果、不健康を引き起こしやすい状態となり、転倒や日常生活の障害、要介護の発生、死亡のリスクを増大していきます。
このプロセスは、過去には「虚弱」や「老衰」などと表現され、不可逆的(元の状態には戻らないこと)な印象を与えることが懸念されていました。
そこで、日本老年医学会では2014年より、このプロセスを「フレイル」と表現して、不可逆的な印象を払拭し、「フレイル」へのさまざまな対策や取り組みにより心身機能を改善させ、健康寿命を維持・延長させることを目指しています。
「オーラルフレイル」と「口腔機能低下症」
「オーラルフレイル」とは、
わずかなむせや食べこぼし、滑舌の低下といった口腔機能の軽度な低下から食べる機能の低下までを含み、さらには心身機能の低下へとつながる「フレイル」の一つです。
「オーラルフレイル」は以下に述べる疾患である「口腔機能低下症」の症状から始まりますが、ほんの些細な症状であることが多く、見逃しやすく、気が付きにくいので注意が必要です。
歯周病やむし歯などで歯を失った際には適切な処置を受けることはもちろんですが、定期的に口腔機能の健康状態をかかりつけの歯科医師に診てもらうことが非常に重要でであるといわれています。
「口腔機能低下症」は、
口腔機能を健康に保ち、オーラルフレイルの進行を抑制するために、2018年に新たな疾患の名称として「口腔機能低下症」が保険収載されました。
口腔機能低下症は、オーラルフレイルの概念において「第3レベル:口の機能低下」に位置しており、口腔機能低下症と診断された場合は、地域の歯科医院で口腔機能管理を行うこととなります。
オーラルフレイル概念図
(出典:公益社団法人日本歯科医師会:歯科診療所におけるオーラルフレイル対応マニュアル 2019年)
口腔機能低下症の診断と検査、その管理について
口腔機能低下症の診断には、7つの評価項目の検査を行います。(検査時間は30分程度です)
7項目中3項目以上で低下が認められた場合に口腔機能低下症と診断されます。
- 口腔衛生状態不良(口腔不潔) 自覚症状:口の中が汚れやすくなった
- 口腔乾燥 自覚症状:口の中が乾くようになった
- 咬合力低下 自覚症状:食べものが口に残るようになった
- 舌口唇運動機能低下 自覚症状:滑舌が悪くなった、食事時にこぼすようになった
- 低舌圧 自覚症状:薬を飲みこみにくくなった
- 咀嚼機能低下 自覚症状:硬いものが食べにくくなった
- 嚥下機能低下 自覚症状:食事時にむせるようになった
口腔機能低下症と診断された場合は、健康保険適用によって口腔機能の改善・維持のための指導や訓練を行います。
加賀美歯科では早期に口腔機能低下症の症状を発見し、口腔機能を改善・維持するための適切な取り組みを行うことにより、オーラルフレイルからの脱却や進行の抑制を図ります。
さらには、日常生活の活動能力を向上させることで、フレイルからの脱却や進行の抑制を目指し、患者様の健康寿命の延長と維持に寄与したいと考えております。気になる症状がございましたら、お気軽にご相談ください。